実家の愛犬あんずが
空へ旅立ちました。
18歳の大往生。
あんずはミニチュアダックスフンドだけど
身体はむっちりまるくて
頭が小さくて手足は太めで短くて
細長いというより丸っこい感じ。
黒と茶色の混ざった不思議な毛並みで
暗がりにいると見えにくい。
なのにいつも足元にくっついてくるから
よく踏まれそうになってた。
あんずは元々は母の知人の家の子で
詳細はよくわからないが
飼えなくなったとかで放り出されて
突然我が家にやってきた。
なんとも無責任な話で腹立たしいけれど
結果としてうちにきてくれてよかった。
無邪気なお転婆娘で
先住犬とも仲良くなって
それでもどことなくいつも遠慮がちで
一歩引いてる感じなのが歯痒くて切なかった。
あんずが家にきたのは私が独立した後だから
一緒に住んだことはないのだけれど
「この人は家族だ」と
理解してくれているようだった。
時々会いに行くと
全力で歓迎してくれて
帰る時には必ず
見送りについていくといって聞かなかった。
散歩も外出も苦手なのに。
あんずが外へ出たがらないのは
そのまま帰れなくなることを
恐れていたんだと思う。
子供の頃たらい回しにされたから。
傷の癒えない心が不憫で愛しい。
旅立つ前日
うろうろ歩き回って
立ち止まって首を傾げては
珍しくよく吠えてた、と聞きました。
滅多に吠えたりしないのに。
たぶんね。
先に空の住人になった先輩犬たちが
迎えにきてたんじゃないかな。
大丈夫だよって。
一緒にいるよって。
ひとりじゃないよって。
どこかでまた会えるから、って。
勝手だけど
みんなでお散歩に行くみたいに
旅立てたんだったらイイな、と思う。
どこにも追い出されたりしないから
永いお散歩を楽しんでね。
いつか会いに行くけど
待てなかったら覗きにきてもいい。
あんずの居場所はずっとここにあるから。
うちにきてくれて
うちにいてくれてありがとう。
いってらっしゃい。